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世界中のAIクリエイターが参加する Chroma Awards に挑むと決めた瞬間、僕たちの制作は“仕事”から“戦い”へと変わりました。海外勢が本気で殴り合う場に、どこまで食い込めるのか。この記事では、制作着手からキャラ生成まで──作品の芯が固まっていく最初の工程をまとめます。

作品はコチラをチェック!
挑戦の始まり:世界の壁に火をつけられた
Chroma Awards の参加者作品を見た瞬間、ビビる制作チーム。
海外の作品はどれも完成度が高く、容赦がない。


「この中で戦うのか……?」
そう思った次の瞬間には、もう覚悟が決まっていました。
“どこまで通じるのか試してみたい。”
それだけで挑戦する理由としては十分でした。

ElevenLabs(AI音声領域のリーディングカンパニー)が主催する賞金総額175,000ドル(約2,800万円)以上の権威ある大会。
予想外の突破口:Nanobanana × Hailuo が生んだ“制御できるアクション”
制作開始からすぐ、タイムラインに衝撃が流れ込みます。
Nanobanana × Hailuo を使った日本のクリエイターのアクションシーン制作の投稿。
2025年8月当時、アクションを“破綻なく”生成できるAIはありませんでした。
そのなかで、このワークフローは革命でした。
- Nanobanana → キャラの一貫性
- Hailuo → アクションの開始点・終点を制御
- 組み合わせると“意図の通る動き”になる

AIでアニメ―ション制作がイッキに現実に!
日本から世界へ:未来日本×復讐×ジャパニメーションの設計
海外クリエイターの土俵で勝つなら、日本らしさ を武器にするべきだと思いました。
- サイバーパンク化した未来日本
- 墨絵・水墨エフェクト
- 刀が持つ精神性と美意識
- 復讐という普遍テーマ


復讐は日本文化に深く根づいています。
たとえば赤穂浪士の物語のように、個人の情念が大義となり、
“正義を貫くために刀を取る”姿は世界にも伝わりやすい。
そこから生まれた主人公が サユリ。
日本的な制服をまとい、怜悧な瞳で刃を閃かせる復讐者です。

- あらすじ
- サユリの父は、代々神刀ハバキリを守り継ぐ現代的な守り人であり、娘の成長を静かに見守る温かな存在だったが、その刀を狙う忍者を率いる裏社会のボスに殺害される。しかし敵の求めた刀はすでにかつての力を失っていた。父は最期に「自由に生きろ」と願いを託したが、サユリはその言葉とは逆に、自らの意思で復讐を選ぶ。父を奪った旧時代の影と向き合いながら、サユリの復讐は正義でも義務でもなく、ただ“自分で選んだ生き方そのもの”として立ち上がる。
物語の核は「復讐は究極の利己」というテーマでした。
すべてのキャラクターを主人公の選択を強調するために設定していきました。
敵首領のキャラデザ
- 乱世を夢見る懐古主義者
- 社会を裏から支配するフィクサー
- “父を奪った恐怖” と “現代に残る旧時代の影” を象徴
サユリの父のキャラデザ
- ハバキリを継承する守り人
- 娘の成長を見守る温かな現代的な父


もっとも大変だった工程:物語が迷走しはじめる瞬間
正直に言うと──ここが一番カオスでした。
“5分に収める” という制約は、小説1本を短編にする作業です。
頭の中では完璧なのに、映像に変換すると全然まとまらない。
議論は毎回白熱し、迷走に迷走を重ね……
- 敵にも刀を使わせたい!→刀は2本あったんだ!的な謎展開
- 最終兵器が急に“ミサイル搭載ヘリ”になった

でも、この混沌が僕たちに“物語を成立させる責任”を思い出させました。特に惜しかったのが サユリと同じ高校生として生み出されたミナト の存在。
サユリの人間性をつなぎ止めるキャラとして非常に重要でしたが、
5分の壁を前に泣く泣くカットしました。


何度も議論を戦わせながら脚本を洗練させていきました
舞台設定をサイバーパンク日本にした理由
本来は荒廃した日本を計画していました。
しかし、短尺で世界観を伝えるには“説明コスト”が高い。
そこで、「一目で伝わる未来日本」──
つまり サイバーパンク を選びました。
- ネオン街はAI生成と相性がよい
- 日本らしさ×未来感で海外にも伝わる
- 伝統 × 現代 × 破壊 という物語テーマと噛み合う
この世界観が、物語の奥行きを決定づけました。

物語を作りたい人への前向きなアドバイス(+余談:sora2の衝撃)
ここまで読んで「自分でもAIでアニメを作れるかも?」と思った方へ。
まず一つ言えるのは──大丈夫です。AIでアニメはつくれます。
ただし、AI映像で物語を動かすには次の壁があります。
- ストーリーの芯(テーマ)を決める
- キャラの欲望と葛藤を設計する
- 不要な枝葉を切り落としていく
- “映像で語る部分” と “語らない部分” を分ける
これはAIがやってくれる領域ではありません。
だからこそ、あなたの“考える力”が作品を決定づけます。
そして余談ですが──
僕たちがこの作品を完成させた直後、sora2 が登場 しました。
正直、ティザー制作の難度は一気に下がりました。

でも同時に確信しました。“映像の価値を決めるのは、技術ではなく物語” です。


AIが進化しても、物語の心臓部はあなたの仕事です!
次回予告
制作着手からキャラ生成まで──
振り返ると、技術よりも“物語の設計”こそが作品を支えていました。
しかしこの制作を通して培った技術は、それこそ現在のAIアニメ制作の最先端であるという自負もあります。
次回は 画像生成編・動画生成編 をお届けします。
技術面の裏側もすべて公開しますので、ぜひ続けて読んでください。